2010年7月10日土曜日

異形の将軍-田中角栄の生涯- / 津本陽


田中角栄元首相のことはロッキード事件とか日中国交正常化を推し進めた人としか知らなかったので読んでみました。僕は本当に政治とかに疎いので困ったものです。

この本は小説というよりは、田中角栄のドキュメンタリーみたいな形で、様々な文献をもとに津本陽さんがうまくまとめているという構成になっています。津本さんの本は何冊か読んでいますが、文章力も構成力も素晴らしいので読みやすいです。

この本を読むと、田中角栄という人物の飛びぬけた才能と実行力が本当に良くわかります。現代の織田信長といっても差し支えないかもしれません。思想と行動に一本の筋が通っていて本当にカッコいいひとですね。

この人はもともと10代で土建屋を自分で立ち上げて大成功した人なんで、もともとの発想力とか経営的手腕はものすごくありました。国をまとめる上でもそういう才能って本当に必要なんだなって改めて思わされました。

田中角栄以外の日本の首相っていうのは、優秀な大学を卒業しているのはいいかもしれませんが、経営能力や、交渉能力というのが欠けている人が多いかもしれませんね。そういう意味では、大企業の社長とかのほうが、現在の日本の首相には合っているかも知れません(笑)鳩山さんなんて結局国をどうしていきたい、という現実的で具体的な見通しみたいなの無かったんじゃないですか。今回首相になった菅さんも、日本はこうあらなければいけない。だからこれこれをこうしていかないといかないんだ。その為にはなになにが必要だ。ということを明確に言ってないですよね。政治家の言い回しは極めてわかりにくく、婉曲的で、聞いている人がなんとなくわかるような表現ですよね(笑

脱線してしまいましたが、この本はいいですよー!とても気に入った田中角栄さんの言葉を引用させてもらいます。

「苦労というものについてのよい例は“山登り”だと思う。山登りは好きで登る。じゃ炎天下の“田の草取り”はどうかというと、苦しさの経験からいったら、とても経験の無い者にはわからない。苦しいけれども山に登る。苦しいいけれども田の草取りはやらねばならん。そこで気持ちの持ちようということが、事の成否に随分影響してくると思う。」






異形の将軍 上―田中角栄の生涯

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